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新春特別展示「宮澤由雄生誕150年 姫路押絵」


 押絵とは絹などの布に裏側から綿を入れて半立体的に仕上げる技法で、現在では羽子板などによく見られます。姫路押絵は他地域に比べて厚みがあり、人物や動物の目玉に「入れ目」というガラス玉を使用する技術などによるリアルで迫真力のある表現が特徴です。
 独特の技法が雅やかな世界を創りあげる姫路押絵は、明治生まれの宮澤由雄によって、のぞきからくりのネタ絵を中心に迫真の表現力で全国に広まりました。そして、その伝統技法は子どもたちに受け継がれていきました。
 平成31年は姫路押絵の創始者宮澤由雄の生誕150年にあたります。この展覧会では、宮澤由雄と、その子である鶴子、貞次、延栄らの作品を中心に、羽子板や額の押絵や、和紙貼絵などの習作などをあわせた約100点を紹介し、姫路押絵の特徴と魅力に迫ります。

新春特別展示「宮澤由雄生誕150年 姫路押絵」
会期/平成31年(2019年)1月6日()〜2月24日(
会場/展示室A上・B・C・企画展示室
主催/姫路市書写の里・美術工芸館、神戸新聞社
後援/サンテレビジョン、ラジオ関西
企画/公益財団法人 姫路市文化国際交流財団
(姫路市文化国際交流財団設立30年特別企画)
休館日/月曜日、1月15日(火)、2月12日(火)
(ただし1月14日(月祝)・2月11日(月祝)は開館)

※2月24日()は「姫路城マラソン2019」のため、周辺に交通規制があります。


主な出品者と出品作品

押絵の羽子板や額、貼絵の色紙、下絵、道具など約100点を出品予定。

(1)宮澤由雄(本名は由吉) 明治2年−昭和19年

のぞきからくり『女一代嗜鏡俊徳丸』より看板ソデ絵「衣装比べ」
大正時代頃 三原市歴史民俗資料館蔵
本展の注目作品!広島県三原市から姫路へ初めて里帰りする貴重な1点です。
女一代嗜鏡俊徳丸より看板ソデ絵の画像
 のぞきからくりとは、幕末から明治頃に流行した移動式の大型紙芝居のようなものです。箱の中に仕掛けた絵を穴からのぞくもので、そのナカネタ絵と、客寄せの看板絵を押絵で制作し、全国的な人気を得ていたのが姫路押絵です。当時は「大日本押絵師」だけで宮澤家に手紙が届いたとされるほどの知名度を誇りました。
 由雄が手掛けた現存品はのぞきからくりのみで、それも数えるほどしか確認されていません。しかも、大道芸能の一種であるのぞきからくりは消耗品のため傷みがあれば廃棄される類のものであり、現在奇跡的に残っている作品もかなり劣化が進んでいます。この度は貴重な現存品から、畳ほどの大きさのある俊徳丸と初菊が見つめあう「衣装比べ」の場面をご覧いただけます。こういった視線を意識する構図が可能なのは、ガラス玉の「入れ目」によるものでしょう。初菊の左目の欠損が残念ではありますが、このまなざしの絡む瞬間が、映画もない時代にどれほど、人々の想像力をかきたてたことでしょうか。由雄は家族と多くの従業員と共に立町に店を構え、自らも職人であると同時に総合プロデューサーとしても腕をふるいました。

(2)石田鶴子(号:秀鶴) 明治22年−昭和37年

額「慈母観音像」部分 新収蔵品(受贈)
額「慈母観音像」部分の画像
 観音菩薩は、仏教の菩薩の一尊で、一般的には観音様と崇められる信仰の対象です。様々な姿で表され空中に浮かぶ図像もありますが、赤子に向けて水瓶から霊水を滴らせる構図は、重要文化財に指定されている狩野芳崖絶筆の日本画、「悲母観音」に特有のものです。観音は慈悲を司るので、「慈母(じぼ)観音」「悲母(ひぼ)観音」ともに呼ばれますが、厳密には「慈母」とは「楽」を与えることを、「悲母」とは「苦」を取り除くことを意味するそうです。
名画を下敷きに複雑な衣紋や優美な指先を芸術性高く表現しようと試みたのが、幼少期から押絵の才能を発揮していた石田鶴子です。嫁いだ家の環境も許されて存分に美意識を発揮し、東京の社交界や皇室を中心に高く評価されました。外交の際の贈り物にも用いられたようで、来日した夫人らの固定客もいました。

(3)宮澤貞次 明治29年−昭和41年

額「大黒天」部分 個人蔵
額「大黒天」部分の画像
 米俵に乗って左肩に大きな袋を背負い、右手には打出小槌を持つ福々しい顔の吉祥人物といえば、大黒天です。七福神にも数えられる福の神を指先まで丁寧に表現しているのは、宮澤貞次です。戦後には妻カノの実家をたよってたつの市へ疎開し、作品の数がたまれば姫路の人形店へ届けに行きました。戦前戦中の作品はどの作者の制作物も現存が少ないため、姫路を離れた貞次の大作もあまり残されていません。
 一方では父・由雄の頃から、播磨国総社の三ツ山大祭や一ツ山大祭の「置き山」や、町の「造り物」制作にも携わったとされていますので、人形師の側面も備えた押絵師であったといえるでしょう。下図なども残されておらず、家の屋根などに人物大の大きさで飾られた「造り物」らは、一種の消耗品であったため、どの町の制作が行われたかなどの詳細が不明で現存が全くないことが惜しまれます。

(4)岡村延栄(号:しゅうえん、しゅうえい 漢字は下の画像参照) 明治44年−平成8年

しゅうえん、しゅうえいの漢字画像
岡村延栄作 羽子板「羽衣」部分 平成5年 当館蔵
羽子板「羽衣」部分の画像
 7世紀頃の平安貴族が好んだ「毬杖(ぎっちょう)遊び」が起源となって発展したとされる羽子板は、江戸時代に入って女児の初正月のお祝いに贈るものとして定着しました。羽子板で突く玉は「無患子(むくろじ)」という木の種なので、「子が患わ無い」ための厄除けとして、華やかな図柄を選んで贈るものです。この「羽衣」は能や歌舞伎、日本舞踊などの題材として有名な「羽衣伝説」の天女の姿です。丹念に布目を整えて起伏をつけた縮緬の顔は、一般的な筆の描き顔とは違うドラマティックな瞬間を捉えた表情が見どころでしょう。髪の飾りは実際の簪を本場の京都で求め、極上の金襴緞子を用いて制作します。由雄の末娘だった延栄による、晩年の最高傑作のひとつといえます。


会期中のイベント

(1)トークショー「宮澤家との思い出」

平成31年1月13日()14:00〜15:00
作品を通して交流したお話をしていただきます。
講師/垣内京子氏(カキウチ人形店)
場所/会議室(定員40人)
備考/当日先着順(13:00から整理券配布)、聴講は無料ですが、展示をご覧になるには入館料が必要です。

(2)実演・姫路押絵

平成31年1月20日()11:00〜12:00/14:00〜15:00
宮澤流姫路押絵の技を実演解説していただきます。
講師/岡村e雄氏・紀久世氏(宮澤流姫路押絵)
場所/展示室内(企画展示室前)
備考/事前申し込み不要。要入館料。

(3)展示解説会

平成31年1月26日(土)、2月10日() いずれも14:00〜15:00
講師/当館学芸員
備考/事前申し込み不要。要入館料。


展覧会チラシ A4表裏(PDF形式 2,577KB)

姫路市書写の里・美術工芸館
〒671-2201 姫路市書写1223番地  [ 地図 ]
電話 079-267-0301 ファックス 079-267-0304

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