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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」 第94話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。
今回は、ザリガニと対決?です。

第94話~カブちゃん、アメリカザリガニに出会う の巻~

かぶちゃん アメリカザリガニに出会う

バッタ博士のミニ知識【外来生物 アメリカザリガニ】

 アメリカザリガニ(Procambarus clarkii)はエビ目(十脚目)・ザリガニ下目・アメリカザリガニ科に分類されます。日本でザリガニといえば、本来は北日本に分布する固有種のニホンザリガニ、ヤマトザリガニ(Cambaroides japonicus)を指していたのですが、1960(昭和35)年代以降はより身近になったアメリカザリガニを指すことが多くなりました。アメリカザリガニは名前のとおり北米原産ですが、なぜ日本で身近になったのでしょうか?

 実は人間が持ち込んだのです。1927年(昭和2年)に、食用ガエル(ウシガエル)養殖の餌として、神奈川県鎌倉郡岩瀬にあった鎌倉食用蛙養殖場に20匹持ち込まれたのが最初とされています。やがて、養殖池から逃げ出して繁殖し、1960年頃には九州にまで分布域が広がりました。

 それまで日本に存在していなかっただけに、水草を切断したり水生昆虫を捕食したりといったアメリカザリガニの生態が陸水の生態系に影響を与えており、その悪影響から侵略的外来種として「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」によって生態系被害防止外来種に指定されています。

 もちろんのことながら、アメリカザリガニは生物として全うに生きているだけで、日本に持ち込んだのも生態系被害防止外来種に指定したのも私たち人間です。生物を取り扱うときには、未来まで見据えた長くて広い視点が要求される、そんな時代に私たちは生きています。

アメリカザリガニについては以前のバッタ博士のミニ知識も是非ご覧ください。