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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第74話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第74話~ヒガンバナはきれい?こわい?の巻~

ヒガンバナはきれい?こわい?の巻

バッタ博士のミニ知識【ヒガンバナのライフサイクル】

 秋のお彼岸の頃、道端や田んぼの畦道に真っ赤な花を咲かせるヒガンバナには、光合成をする葉がありません。あんなに立派な花を咲かせるエネルギーはどこから得ているのでしょうか?
 ヒガンバナは一般的にはヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草とされていますが、別の被子植物の分類(クロンキスト体系)ではユリ科とされることもあるように、球根で増えていく植物です。球根の中にたっぷりと栄養素が蓄えられているので、30~50cmも伸びた茎の先に5~6個もの花を咲かすことができるのです。
 では、その球根には、どのように栄養を蓄えているのでしょうか? 実はヒガンバナには光合成を行う立派な葉があるのです。花の時期には注目を集めるヒガンバナですが、花が散った後の姿をご存知でしょうか。花が散った後、やがてスイセンの葉に似た細長い葉が伸びてくるのです。この葉は冬の始まる前から光合成を初めて、冬から春の間には球根に十分な栄養を蓄えます。
 夏の時期に繁茂する他の植物に比べて背の低いヒガンバナは、他の植物が枯れていて日当たりの良い冬の間に、エネルギーを球根に蓄えていくのです。なんだかイソップ童話の「アリとキリギリス」のお話に似ていますね。