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姫路科学館・昆虫マンガ「カブちゃん」第51話

カブちゃんは、「姫路科学館だより」に掲載されている4コマ漫画です。

第51話~菜の花には要注意!の巻~

菜の花には要注意!の巻

バッタ博士のミニ知識【セイヨウカラシナによる食中毒】

セイヨウカラシナ(Brassica Juncea)はヨーロッパ原産のアブラナ科アブラナ属の二年草で、アブラナ(Brassica campestris)とクロガラシ(Brassica nigra)の交雑種とされています(1)。栽培種のカラシナの由来種なのですが、アブラナ科Brassica属の植物には、イソチオシアネート(isothiocyanate)という硫黄(S)を含む化合物のグループが含まれており、家畜が大量に摂取すると中毒を起こすことが知られています(2)。ワサビやダイコンをすりおろして酸素と触れると生成される辛味成分アリルイソチオシアネート(allyl isothiocyanate、C4H5NS)と同じ成分で、適量の摂取は抗菌作用などの効果を示しますが、大量に摂取すると中毒の原因となる有害な物質です。1996年には兵庫県でも牛の中毒例があり、呼吸が弱くなって食欲が無くなり、皮膚温度が下がって眼球振盪(がんきゅうしんとう)が起き、起立不能となった症例が報告されています(3)
リファレンス(出典)
(1) 長田武正、『原色日本帰化植物図鑑』、保育社(1976年)、p.263
(2) 藤井義晴、橋爪健、「牧草・飼料作物および雑草に含まれる有毒物質と家畜中毒」、『牧草と園芸』第53巻第6号(2005年)、pp.9-13
(3) 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所ホームページ
http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poisoning/manual/leefmustard.html
より