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天体写真と観測報告「ホームズ彗星(2007年10月28日~12月18日)」

2007年10月24日(水)頃からアウトバースト(急速に明るさが増すこと)を起こして話題になっているホームズ彗星の、星の子館90cm反射望遠鏡カセグレン焦点(焦点距離:14320mm)によるクローズアップ画像です。
放出されたダストがシェル(球殻)状にに取り巻く構造が見えています。

90cm望遠鏡で撮影したホームズ彗星の中心部2007年10月28日4時30分頃 星の子館90cm反射望遠鏡カセグレン焦点+冷却CCD(ジョンソンシステム・フィルターB,V,R,I)で撮影した画像をカラー合成

11月19日(月)、アウトバーストから3週間が過ぎて、放出されたダストが大きく拡がりました。初めの内は90cmカセグレン焦点でも何とか写野に収まっていたのですが、今では10cm屈折望遠鏡(焦点距離:1000mm)でちょうど良いくらいです。このコマの大きさは既に太陽よりも大きくなっています。
2007年11月19日のホームズ彗星2007年11月19日4時30分頃 星の子館10cm屈折望遠鏡+冷却CCD(ジョンソンシステム・フィルターB,V,R)で撮影した画像をカラー合成

11月20日(火)、星の子館では冷却CCDカラー撮像で使われるL+RGBのフィルターではなく、測光観測用のBVRI+Cの波長のフィルターで撮像しています。そこでカラー合成する際には、B→B、V→G、R→R、C→Lに置き換えて合成しています。そのため色合いについては画像処理の仕方によって大きく異なります。左端は通常に処理したものですが、色合いが不自然なため、画像処理をやり直してみたのですが、真ん中はBVR、右はBVR+Cによるものです。実際に肉眼で見たホームズ彗星は、アウトバーストしたての頃は黄色っぽかったのですが、やがて拡散するに従って色は感じにくくなっており、今では白っぽくボーっとした感じに見えます。フィルタの組み合わせによる色の違いフィルタの組み合わせによる色の違いフィルタの組み合わせによる色の違い

2007年11月20日4時30分頃 星の子館10cm屈折望遠鏡+冷却CCD(ジョンソンシステム・フィルターB,V,R,I+C)で撮影した画像をカラー合成

以下は特に書かれていなければ、星の子館15cm屈折望遠鏡+冷却CCD(ジョンソンシステム・フィルターB,V,R+C)で撮影した画像をカラー合成しました

12月1日(土)、アウトバーストから1ヶ月以上過ぎたのに、まだ肉眼でも見えています! 15cm屈折望遠鏡(焦点距離:1800mm、上写真)では、はみ出す程大きくなりました。この夜は、導入途中の分光器専用撮像装置の新しい冷却CCDを10cm屈折望遠鏡(焦点距離:1000mm、下写真)に取り付け、テストを兼ねて職員二人がかりで撮りました。しかし、分光器用の小さ目のCCDチップなので、やはりはみ出てしまいました。
2007年12月1日のホームズ彗星2007年12月1日21時30分頃

2007年12月1日のホームズ彗星2007年12月1日21時30分頃 星の子館10cm屈折望遠鏡+冷却CCD(カラーRGB+Cフィルター)で撮影した画像をカラー合成

12月3日(月)は透明度が良かったので、街明かりの多い姫路市内の星の子館でも、肉眼でよく見えていました。
2007年12月3日のホームズ彗星2007年12月3日23時00分頃

12月4日(火)は薄雲がかかっていたのですが、撮像時間帯だけ奇跡的に薄雲がきれて透明度が上がりました。
2007年12月4日のホームズ彗星2007年12月4日20時30分頃

12月5日(水)、12月に入ってから天気が安定し、3日連続で撮像できました。バースト初期の頃のように日に日に大きくなる感じはしませんが、それでもとうとう写野に収まりきらなくなってしまいました。
2007年12月5日のホームズ彗星2007年12月5日20時30分頃

12月7日(金)、夕べは準備を済ませたところで曇られてしまいましたが、今夜はなんとか晴れて無事に撮れました。
2007年12月7日のホームズ彗星2007年12月7日20時30分頃

12月8日(土)は、日付が変わった夜半過ぎに天気が回復し、すばらしい透明度とシーイングの夜になりました。
2007年12月9日のホームズ彗星2007年12月9日2時00分頃

12月9日(日)、日の入りが早い季節で、しかも北の空に出ている彗星なので、日が沈むとすぐに撮像が可能です。この夜は夕方5時からトワイライト・フラット(冷却CCDの画素毎の感度ムラ補正するための薄明の空の画像)を取得し、観望会の始まる夜7時までに撮像を完了することができました。ここ3日間の画像を比較すると彗星の移動がわかります。目印はサチっている恒星(明るいために画素が飽和して光が溢れ出している星)で、この周りの星の配列と比較すると彗星の中心が移動していることが、よくわかります。
2007年12月9日のホームズ彗星2007年12月9日18時30分頃

12月10日(月)は日中は天気が良かったのですが夕方から崩れはじめました。それでも昨日同様、午後5時から撮像準備を始めたので、なんとか曇る前に5色を撮り終えることができました。
2007年12月10日のホームズ彗星2007年12月10日19時頃

12月14日(金)はふたご座流星群極大の夜、最高の空に恵まれました。この夜は、ふたご座流星群の月面衝突閃光モニター観測、90cm反射望遠鏡による通常の公開観望会、ふたご座流星群観察の終夜イベント、流星群の記録ビデオとデジタルカメラ撮影と大忙しだったのですが、片手間にホームズ彗星も撮像しました。やはり慌てて撮ると失敗があるもので、R(赤)画像の取得がなかったので、この日の画像のカラー合成はI(赤外)画像で代替しました。
2007年12月14日のホームズ彗星2007年12月14日22時30分頃

12月15日(土)はふたご座流星群の徹夜明けに加えて、変光星観測イベントやテレビ局の取材と大忙しだったのですが、なんとかホームズ彗星も撮像しました。
2007年12月15日のホームズ彗星2007年12月15日21時頃

12月18日(火)は今夜はとても大切な食連星観測の日だったのですが、その観測前にホームズ彗星も撮像しました。ところが、この後は曇ってしまい、食連星の方は撮れませんでした。残念です・・・
さすがのホームズ彗星もかなり拡散してきました。
2007年12月18日のホームズ彗星2007年12月18日18時30分頃